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Can-On
Music School

Miya's Lesson Column へようこそ

このページでは、Q&A、お勧めの音源、
曲の解説など、日々のフルートライフに役立つ情報を毎月更新していきます。

こんな事聞いてみたい!という事がありましたら、是非チームカノンまでご連絡ください。


レッスンコラム

Vol.39 2017年お世話になりました!

即興ワークショップ、アンサンブルミーティング、フルートパーティと、
カノンミュージックスクールの3本柱のイベントが定着してきました。
2017年はスクールにとって実りの多い一年だったと思います。
新しい生徒さんが仲間に加わり、
続けてきてくださっている方にもそれぞれ変化があったりして、
私も相変わらず良い刺激を受けています。

自分の活動のメインは、良い音楽を世の中に届けたいということ。
そのためには第一線で活躍しなければならないと思っています。
ありがたいことにライブでの共演者は超一流の方とクリエイトできているので、
第一段階はクリアと思っていて、
あとはこれをどれだけ深めて揺るぎないものにできるかが私のチャレンジです。

この流れの中でレッスンを継続して行うことに迷いはなくて、
ライブで得た素晴らしい体験を生徒の皆様にできる限り全てお伝えしたいです。
その素材をどう生かすかは一人ひとりの目標によって変わってきます。

一人ひとりのカラーを大切に育てていきたいと思っていて、
パーティで皆が揃うとはっきりとわかるのですが、
スタイルがそれぞれ全然違うというのが私の自慢です。

(対応できる伴奏者を見つけるのが大変ですが、必然的にレベルの高い方にお願いすることになります。それはそれでチャレンジグな喜びがあります)

人間が違うのだから音色や音楽の方向性が違っていて当然です。
向き合って一緒に音楽について考えることができることは喜びです。
その過程で、趣味の世界では楽器の上手い/下手というのは
関係ないということもつくづく感じさせられます。

もちろん技術を向上して欲しいと思ってレッスンに取り組んでいますが、
その方が歩んできた人生のかけがえのない瞬間が音楽の中で現れてくるので、
教えている方はまったく油断できないのです。

この方の技術はこのくらいだろうな、と思っていたことが、
違う角度から見てみると大きく間違っていた、というような、
嬉しい誤解を何度も経験しました。

できる限り思い込みは作らず、全ての可能性にアプローチできるようなレッスンをこれからも目指してまいります。

2018年もどうぞよろしくお願いいたします。


Vol.38 第2回目の即興ワークショップを終えて。

いよいよ今年も残す所あと2ヶ月。
Can On Music Schoolでは一年の中で目標を決めて、
ペース配分しながらレッスンを進めておりますが、
着実に皆さんの上達を感じられる事、とても嬉しいです。
月に1~2回定期的にいらしてくださる事がやはり大切で、
まさに継続は力なりです。

年に3つのイベント

・即興ワークショップ
・アンサンブルミーティング
・フルートパーティ

を開催しています。
本来は年に1回ずつの予定なのですが、
UKを代表する即興ヴィオラ奏者のBenedict Taylor氏の来日を記念して、
友人特権でゲストとして来ていただき、
先月、特別に第二回目を開催しました。
こうしてフットワーク軽く来てくれるというのが、
即興表現者(インプロヴァイザー)の面白いところです。
それに、技術の有無を問わないというのも即興の一つの大きな特徴。
上手ければ上手いほどアンサンブル能力も上がってくるので、
初心者の方ほど、上手で経験豊富なインプロヴァイザーとの共演のチャンスがあったら、
絶対にやってみる事をお勧めしています。
即興は技術だけでなく、発想や着眼点がモノを言う世界。
そしてベネディクトのような素晴らしい方と共演すると特にそう思うのですが、
アンサンブルを大切にするので、
今、自分がいる空間を音を通して体感し、
共演者とも一体感を感じる豊かな時間を過ごす事ができます。

私のレッスンを受けに来てくださる方は、
ジャズを学びたいという方が100%なので、
即興と言われるとちょっと難しいとか、抵抗を感じるかもしれません。
レッスン内ではジャズにフォーカスするとして、
音楽的視野を広げる意味でこのようなワークショップに参加していただけると、
「こうしなければいけない」と、
無意識の内に自分に植え付けてしまった思い込みから解放されて、
もっと楽に、自由に音楽に取り組んでいただけると思います。

また来年以降も計画してまいりますので、
是非皆様オープンな気持ちでご参加いただけたら嬉しいです。

さて、今月はいよいよ待ちにまったフルートパーティです。
こちら打って変わって年に一度、各自やりたい事をやりたい放題やる会です。
選曲も出揃って、今年もバラエティ豊かなラインナップになりました。
また嬉しい事にカノンのもう一つの拠点、福島県南相馬市からもお客様をお迎えします。
楽しみに準備を進めてまいります!

vol.37 年に一度のFlute Party

いよいよ来月は年に一度のフルートパーティ。
おかげさまで今年で4年目。
皆様と楽しくこの会を続けてこられた事、
そして毎回ゲストでご参加くださる超一流のミュージシャンの皆様に心から感謝です。
技術の段階は関係なく音楽の喜びを共有する事を目的にしています。
伴奏を超一流の方にお願いするのは私にとってもチャレンジでありますが、
それだけ普段から質の良いレッスンを、
ご提供できるようにするためのモチベーションに繋がります。
生徒の皆様と音楽の喜びを共有する事、
そして、フルートを通して音楽とより深く繋がるお手伝いをする事は私の喜びです。
毎年パーティに参加してくださっている方は、
それぞれ本番に向けてペース配分が上手になってきています。嬉しい限りです。

はじめて参加する方はきっと緊張すると思います。
特に経験が浅かったり、自分の技術に自信がない場合はストレスさえ感じるかもしれません。
私のチャレンジはその不安を緩和する事です。
このパーティは上手い下手は本当に関係なくて、
ただただ音楽の喜びを味わえば良い会です。
万が一音が出なくなってしまったら、
伴奏をしてくださる今回の素晴らしいゲスト、
鬼怒無月さんの音色に耳を傾けていれば良いし、
曲として成立させるために、
難しい箇所があったらもちろん私も助っ人で入ります。

1番大切なのは喜びのイメージを持つ事。
どんな曲をどんな風に演奏して、
音楽の喜びを自分の身体と聴いている人の耳にとどけるか、
具体的なビジョンを思い描く事ができれば、
楽器の技術は後から勝手についてきます。
私達もそれを実現するために全力でサポートします。

年に一度のやりたい事をやりたい放題やる会です。
みんなで盛大に楽しみましょう!

vol.36 自分の音を自分で聞く事

自分の姿形を客観視する事は意外と難しいものですが、
自分の音を自分で聞く事も、
思ったほどできていないというがあるかもしれません。

どれだけ自分の音を自分で理解しているのか。
自分の音を自分で聞くという技術は、
自然に身につくものだけではなく、
ある程度の訓練も必要だと感じています。

自分の音に対する意識を変えるだけで、
驚くほど演奏が変わります。

自分の音色、そして、演奏しようとしている音楽をどれだけ信頼しているか。
自分の身体と自分が出した音の間には自分の心しかない。
他の人の耳に届く前にまず自分で自分の音を受け入れる事が大切なのではないか、
と最近思うようになりました。

これは発展途中の様々な段階で言える事ですが、
もしも自分の音色に自信がない、
どんな音楽をやろうとしているのかイメージがつかめないというのであれば、
まずはそのイメージを具体化する事をお勧めします。

どのような音色を出したいのか、
どのような音楽をやりたいのか、
大きな目標と小さなビジョンを持ってください。
大きな目標は漠然としたもので構いません。
小さなビジョンは実現可能なものです。
どのような段階でも必ずできるポイントがあります。
例えば早いフレーズが吹けないのであれば、必ずできるテンポまで落とす。
コードの仕組みに理解が追いつかないのであれば、
ルートとメロディの関係性から押さえていく。
思いどおりの音色が吹けないようであれば、
確実に出せる音から気持ちよく吹けるようにする。

できないからといって、そこだけを執拗にやるのではなく、
イメージを持つ事を大切にして、
できそうなポイントが見つかったらそこを少しずつ深めていく事。
小さなビジョンから押さえていけば、必ずブレイクスルーするところがあります。

Vol.35 即興ワークショップ開催します。

ロンドンよりヴィオラ奏者Benedict Taylorの来日を記念して、
即興ワークショップを開催します。
どなたさまも歓迎ですので興味のある方はカノンまでお問い合わせください。
今年の2月に初開催した即興WSがが好評+私自身手応えを感じたので、
Benedictの来日に合わせて企画しました。
ロンドンは私が即興の基礎学んだ場所。
Benedictはロンドンの即興シーンの中心人物の一人です。
即興の表現は音楽の技術の中でも最上位のテクニックであると同時に、
生きるための根源的な要素にも繋がっているように感じます。
即興とは何なのか、答えは一つではないし、一度で出す必要もないと思います。
まずは体感して頂いて、感覚を味わっていただいて、
じわじわ育ていくものかもしれません。

即興の理解はミルフィーユのようにいくつもの層があって、
どこを食べても美味しいように、
どの段階でもそれなりの楽しみ方があります。

ワークショップではみんなで感覚をシェアしたり、
場面によってはテクニックを体系立てて分析したり、
コンダクションもやろうとおもっています。

先日、レッスンでプログラマーでもある生徒さんが、
ジャズにおける先読みの技術はチェスの感覚に共通するものがあると言っていて、
面白いな、と思いました。

コンダクションはその要素がさらに強くなって、
どうやって音楽を構築していくか、
楽器の技術とはまた別の音楽的能力が開発される事でしょう!

みなさまのご参加お待ちしています。

Vol.34 篠笛レッスン

今回は私がレッスンを受けました、というお話。
江井の神楽を演奏するにあたって、
フルートで取り組んでも良かったのですが、
やはり一度篠笛で体験した方が良いだろう、という事で、
今年から篠笛に取り組んでいます。

幸運な事に、素晴らしいご縁に恵まれて、
良い先生に出会う事ができました。
フルートと篠笛の共通点、そして違いを理解する事によって、
さらにフルートの表現の可能性の広がりを実感しました。

一番面白いと思ったのは、
土着的な神楽で使用される篠笛には明確な奏法が統一されていない、という事。
日本全国各地域にそこにしかないオリジナルな笛の吹き方があると思うと、
とってもワクワクしますね!

今回、実感したのは、
習いごとというのは習う先生によって得られるものが大きく違うという事。
最初が肝心という事で、信頼する方に相談して、
安心して相談できる先生に出会う事ができました。

柔軟な考え方の持ち主で、視野がとっても広がったのですが、
私も自分のレッスンでもそうありたいものです。

面白い事に、カノン青山校では最近民謡に取り組みたいという声が
いくつか出てきています。

私自身、与論島や奄美の音楽から始まり、
今関わっている福島県南相馬市の民謡などに取り組んで、
ちょうど10年ぐらいです。

ジャズとの共通点もたくさん感じるし、(もちろん違いもあります)
専門分野以外の音楽に目を向ける事によって、
視野が広がる経験をしてきました。

レッスンではジャズをメインでやっていて、
ジャズ以外でももしも生徒さんがやりたい事があれば、
できる限り対応するようにしていますが、
生徒さんの方から民謡をやってみたい、
という声が上がるとは思っていなかったので、嬉しい驚きです。

例えばバルトークや、日本人で言えば坂田明さんの取り組みなど、
民謡の要素を取り入れて、
それが生まれた土地からさらに遠くまで、
広がる事ができる形に昇華させた先達の方々の手法などを参考にしつつ、
私なりの、そして取り組む生徒さんなりのやり方が見つかる事を願っています。

Vol.33 レッスン改革!

生徒さんも変化しますが、私も変化します。
カノンにいらしている皆様はそれぞれの分野で活躍されています。
生活の中の様々の要素が音楽に良い影響を与えていて、
私もみなさんの専門分野のお話を聞くとワクワクします。
そして、生徒さんの音楽の成長に合わせて、
私も手応えを感じられるようになってきました。

レッスン内で楽しく演奏してほしいという気持ちは変わりませんが、
それにプラスして家に持ち帰ってから復習してできるようにするのではなくて、
(もちろんそれも歓迎ですが)
レッスン内でその場でできるようにするという、
強い気持ちで臨むようにしています。
不思議なものでそう覚悟すると本当にその場でできるようになります。
なんでもっと早くこうしなかったのか悔やまれますが、
ここまで来てやっとそれができるようになったのかもしれません。

今月のようにアンサンブルミーティングに向けてなど、
強い動機があるとそれに向けてレッスン内容も、
普段だったらここまででいいかな、
という所よりも一歩踏み込もうという気持ちになります。

今月はチャレンジングな内容になると思いますが、
みなさんバッチリ応えてくれています。
本番がとても今後が楽しみです。

6月11日、喫茶茶会記でのアンサンブルミーティング。
スクールに興味のある方は見学可ですので、
ご興味のある方はご連絡ください。

Vol.32 青山校 アンサンブルミーティングに向けて Part 2 「イスラエル」

生徒さんにやりたい曲を選んで頂く方式で人気が高かったのがISRAEL。
今までセッションでたまにやる曲、というような認識でしたが、
せっかくの機会なのでオリジナルを聴いてみようと思い、
Johnny Carishiのバージョンを聞いたらびっくり!
こんなに緻密に積み上げられた内容だったとは!
難易度は高いですが、ブルースの広がり可能性を示す曲として、
今回のアンサンブルミーテイングの個人的な目玉となりそうです。

ジェリー・マリガンが、
「様々なパーツが一つにまとまっているこの形がいつも好きだった」と語るように、
たった12小節にたくさんのアイディアを詰め込まれていて、
それでいて、スッキリそした印象に仕上がっています。

卓越した技術はメロディだけでなく、
オリジナルの録音のアンサンブル編曲にも発揮されています。
サックス、トランペット、トロンボーンのスモールアンサンブルから、
ビッグバンド編成まで数種類のバージョンが録音されていますが、
どれもまるで高級時計のムーブメントのように緻密に計算された音の配置です。

耳が不快に感じる一歩手前のギリギリのところで、
見事に進行を機能させている、そのスリルは爽快であり、
秩序の中で自由自在に音を操る技術に、
耳がどんどん惹かれていきます。

今回のアンサンブルミーティングでISRAELを吹くのは、
この洗練された曲の空気感が似合う上級者のお二人。
せっかくなので、普段のセッションでやるようなバージョンと、
Johnny Carishiのオリジナルバージョンの2パターンをやっていただきます。
(ちなみにオリジナルのKeyはセッションKeyの全音下、Cmです)

早速、Johnny Carishiのアレンジを私を含めた、
フルート3本のアレンジに置き換えてみたのですが、
これがかなり手強い!

サックス、トランペット、トロンボーンと、
音域の広さや違う音色のコントラストとギリギリセーフの音使いは
同じ楽器の音色、そしてフルート3本だと、
場所によっては近い音域にどうしてもなってしまうのですが、
それだと完全にアウトになってしまいます。

ところどころ工夫をして、
なんとか元に近い状態のアレンジを完成させました。
枠にとらわれないJohnny Carishiのアレンジテクニック、改めてすごいです。
生徒さんに体感してもらうのが楽しみです。

さて、この曲はタイトルと音の構造のリンクも興味深いです。
ちょうどイスラエルが建国された時期と重なって書かれたこの曲。
ユダヤ人であるJohnnyの気持ちも込められているのだろう、と推測します。

例えば、私が「ニッポン」という曲を書いたとします。
そんなタイトルをつけてはいけないなんてルールはどこにもないけれど、
タイトルだけ見ると、なんだか変な感じがするし、
そのタイトルに見合った中身で、しかもブルース形式(12小節)で表現するとなると、
ハードルは上がる一方です。

もしかしたら、ISRAELが初めて世に出た時は、
同じような反応もあったかもしれません。
でも、その曲を聴いた瞬間、
様々の要素が交錯し共存するその圧倒的な構造に、
聞き手は全てを直観で受け止めます。

谷川俊太郎が「音楽は予言だ」と語っています。
音楽は言葉で説明する事が難しい事を、
瞬間的にクリアする力があるとの事。

本当にそうだとしたら、
この曲が持つ力、秩序の中の自由、が、
これからの世界の国々への予言である事を願います。

国名をタイトルにつけるというのは、
やはりすごい事なのですね。
ISRAELを吹くお二人はご自身で作曲もされます。
きっとこの曲と向き合う事でさらに幅が広がる事と思います!

Vol.31 青山校 アンサンブルミーティングに向けて

即興ワークショップも無事に終えて、Can On Music School 青山校の次なるイベントは、
アンサンブルミーティングです。
フルートのみのアンサンブルでキュー出し、
イントロやエンディングの出し方などジャズの合奏の技術を磨きます。

二回目となる今年はテーマを決めました。「ブルース」です。
シンプルかつ奥深いテーマで究極の課題とも言えるかもしれません。
私もジャズを始めたばかりの頃、
ブルースが思いどおりに吹けるようになれば、
なんでもできるようになるよ、と先輩に言われましたが、
その意味がやっとわかってきました。

今回は初心者から上級者まで取り組めるように、
なるべく雰囲気が違うものを中心に、
15曲のブルースをピックアップしました。

この中から好きなものを選んでいただきます。
誰がどの曲をチョイスするかも私にとっては面白いポイントです。

ブルースの音楽的な仕組みを理解したり、
自分なりの解釈を見つけたり、
きっと様々な層での理解の段階があると思います。

私自身、とっても楽しみです。

それにしても南相馬でも、
即興ワークショップやアンサンブルミーティングが開催できないのが残念。
いつか南相馬でもこういうイベントができるようにするのが目標です。

今は少人数でしかできない事にフォーカスしています。
年に1回超一流の人と一緒に演奏する機会を設ける、というのが約束です。
今の南相馬の人数では単体でパーティを企画する事は出来ないので、
視点を変えて私のライブに生徒さんに出演してもらうという作戦です。

5月20日南相馬市串焼きアンカーにて、
人数限定のライブを行います。
ギターは鬼怒無月さんと超豪華!
詳細はまた来月の記事に書こうと思いますが、
もしもいらっしゃりたい、という方がいましたら、
カノンまでお問い合わせください。
お席に限りがあるので早めがオススメです。

Vol.30 祝!初即興ワークショップ

Can On Music School 第1回目の即興ワークショップ無事に終わりました。
ずっとやってみたかった事でしたが、
やってよかった!手応えを感じています。
興味のある方にはレッスン内で少しやったりもしているのですが、
即興のみにフォーカスしたのは初体験。
皆、こんな一面もあったのか!と驚きの発見でした。

ジャズ、そして音楽そのものの中でも「即興」は重要な要素。
本能的な感覚としてはわかるのですが、
実際にやってみるとなかなか怖い。
私は最初凄く怖かったし、今も恐怖心がないといえば嘘になります。
だからこそ、面白いとも言えるのですが。

プールで泳いでいたのが、
いきなり海に放り出されたような感覚でしょうか。
どこまで行けば岸に着くのか、深さはどこまであるのか、
想像もつかない世界の中で、自由に表現するのはすごい事だと思います。
生徒さん達は見事に自由に、そして柔軟に泳ぎ切ったので大拍手です!

次回はもっと細かい要素に焦点を当てて、
一つ一つやってみたいと思っています。

とりあえず、第1回目は大成功でしょう。

今回のワークショップのもう一つのトピックでコンダクション。
コンダクションは即興演奏+指揮でアンサンブルを作る手法です。
指揮者の構成力が重要な要素になってきます。

参加者全員が指揮にトライしましたが、
こちらもみなさん初めてとは思えない出来でした。
フルートのみというバリエーションがつけにくい状況の中、
色々な景色が見えましたよー!

みなさん新しい感覚を味わったと思うのですが、
これが普段の楽曲を演奏する時に新たな広がりにつながる事と思います。

無事に終わって一安心!
終わった後、みんなで行ったワインバーで飲んだワインの味も格別でした。

Vol.29 定期録音

Can On Music Schoolでは一年ごとに記念録音をしています。私とDUOです!
録音したものは軽くミキシングをしてCDに焼いてお渡ししています。
一年通ってくださった事へのささやかなお礼のプレゼントです。
先月は2名、一年のポイントが貯まった生徒さんがいらっしゃって、
先ほど音源の編集が終わった所です。
曲目はFly Me To The MoonとSpain。
こうした定期録音は、
一年ごとの変化がわかって面白いというのと、
普段とは違う集中力を発揮するので、
新たな一面が引き出される事がある事、
また客観的に聞く事で演奏中も、
自分の音を観察できる技術が身につくなどのメリットがあります。

今回のお二人はベテランの生徒さんで、難易度も高め。
録音を聴いてみるとあらためて色々な発見があります。

それにしても生徒さんに言った事は、
全部なんらかの形で自分に返ってくるものですね!
録音を聴きながらしみじみしてしまいました。

これからも一緒に発展していきましょうね。

vol.28 2017年よろしくお願いします!

1月もあっという間に終わりですね。
2017年がCan On Music School にいらしてくださる受講生の皆様にとって、
どんな一年になるのかワクワクしながらこの記事を書いています。

フルートとの関わりは趣味としての楽しみから、
本格的なレベルアップまで、様々な目的があると思います。

どのような形でも生活の中に音楽があるという事は、
とっても豊かで素敵な事です。

その一部の時間を共有できる事、とても嬉しいですし、
それぞれ前に、もしくは深く進むために役に立てるよう、
私も前に進んでいきます。

今年は早速ですが、新たな試みとして、
即興のワークショップを開催します。
音楽の中の様々なミクロな要素に焦点を当て、
理解する事で、音楽の中の柔軟性が身につくような内容にしたいと思っています。

基本的にはカノンの受講生が対象ですが、
楽器や人が多ければ多いほど面白くなるので、
受講生でなくてもこのコラムを読んでいる方で、
興味のある方がいらっしゃいましたら、
参加できるようにしたいと考えています。

準備不問、経験不要。
唯一必要なのはオープンハートでいらしていただく事。

日程は2月25日の夜、場所は外苑前の近くです。
ご興味のある方がいらっしゃいましたら、
チームカノン(03-6427-9156)までお気軽にお問い合わせください。

vol.27 2016年を振り返って

2016年のレッスンが終了しました!

今年も生徒さん一人一人と一緒に、
音と向き合い音楽を作る事が出来た事、
とても嬉しく感じています。

今年は一番印象に残ったのは、
アンサンブルミーティングにチャレンジした事。

フルートのみのアンサンブルで何が可能なのか
手探りの状態でしたが、
みなさん真剣に向き合ってくださって、
私も色々と発見がありました。

メインだけやっているとわからない、
他の人のサポート役にフォーカスするというのは、
アンサンブルミーティングならではの経験だったと思います。

実はサポートをするのが得意など、
普段のレッスンだけではわからない、
それぞれの特性が見えて私も楽しかったし、
これからの参考にしていきます。

年に一度のフルートパーティは、
今年も様々なドラマがあり…
黒田京子さんの深く包み込むようなサポートもあって、
本当に音楽って素晴らしいな!と感動する内容でした。

年に1回、超一流の方とセッションする機会を設けることは、
Can On Music Schoolを立ち上げた時の自分との約束ですが、
やはり、このような経験は1回でレッスン10回以上の効果があることを実感します。

一年間、本当にありがとうございました。

さて、来年は前から温めていた一つの新しい企画を実行します!
「即興ワークショップ」です。

今まで、少しずつレッスン内やみんなで集まる機会に
コンダクションをやったり、即興のアイディアのお話をしたのですが、
丁寧に「即興の要素」だけにフォーカスする時間をとってみたいと思います。

即興というのに変な話なのですが、
アンサンブルをする上で即興にもテクニックがあります。
ワークショップでは、いろんなアイディアを実践してみたり、
音楽的な視野を広げる機会にしていただきたいです。

これは参加する方の経験値は問わず、
とくに準備もいりません。
オープンな気持ちで来てくださる事だけでOKです。

①即興ワークショップで音楽の中の柔軟性を身につけ、
②アンサンブルミーティングでミュージシャンシップを自分のものにして、
③フルートパーティで思う存分自分の世界を表現する

そんな風にCan On Music Schoolのイベントを利用していただけたら嬉しいです。
日程など詳細は来年のレッスンでお伝えしますね!
では、皆様どうぞ良いお年をお迎えください。

Vol.26 Flute Party 2016

Miya’s Flute Party 2016 無事終了しました!
ピアノに黒田京子さんを迎え、豪華に開催しました。
一年に一度、超一流の演奏家とセッションする機会を設ける事。
これはCan On Music Schoolを立ち上げる時に決めた、
続けていくための大切なモチベーションです。
今年も無事に開催できて嬉しく感じています。

参加してくださった方は、
思い通りに行った事、行かなかった事、
生伴奏ならではの様々な展開を味わえた事と思います。

アンサンブルの中で自分を表現する事の楽しさや、
人前で演奏する時のちょっとしたテクニックなど、
一対一のレッスンでは伝えきれない事を体感して、
すぐに実践できる場になったと思います。

このような場での経験は、
1回の体験で、レッスン10回分ぐらいの効果があります!

来年以降もこのパーティは続けていきますので、
目標とビジョンを持って取り組んで、
この場を有効利用していただきたいです。
絶対にお得ですし、いい事がありますよ!

Can On Music Schoolにいらしてくださっている生徒の皆さんは、
皆さん、それぞれの生活の中で、
フルートを通して音楽を上手に取り入れていて、
それが他の事にも良い影響を与えているし、
それぞれの生活の様々な要素が音楽に還元されているのを感じます。

こうなってくると、上手い下手ではなく、
その人そのものの魅力が音に出てきます。
そういう音に私は惹かれます。

生徒さん達との関わりの中で、
一緒に音楽を作っていくうちに、
私自身にも変化があります。
生徒さんの上達に合わせて、
私もどんどんレッスン中に吹く時間が増えてきています。

レッスンは一人一人違う内容ですが、
私も全力で向き合う事によって、
方向生が見えてくるのかな、と感じていて、
そのためには音での会話が一番話が早いようです。

これから、どんな展開になるか、私にもわかりませんが、
「音楽はこうでなければいけない」という思い込みをできる限りなくして、
聞き手が幸せになる事はもちろん、
フルートを吹く事で自分を癒すような体験になる事を願って、
レッスンを続けていきたいと思っています。

Vol.25 譜面台

ずっと買わなきゃと思っていたのですが、
実物を見る事はできないし、譜面がない世界に慣れて頂きたいから、
そんなに大げさにしなくても良い、などと理由をつけて、
先延ばしにしていたものをついに購入しました!

譜面台です。しかも高級品!

今までは折りたたみ式の軽量のものを使用していたのですが、
これだとメモを取る時に下敷きがいるし、
高さが出せないので、譜面をしっかりみなければいけない時は、
背が高い人がだと姿勢が悪くなってしまうというデメリットが ありました。

それでもなるべく譜面に依存したくないから、
これで良いのだ、などといってそのままにしていたのですが、
先日決定的な事があって、ついに 購入を決断しました。

今年からはじめた横浜 大倉山記念館での Story of Jazz シリーズ。
雰囲気がある素敵な会場です。
前回の会にいつも応援してくださっている、
イベンターの方がいらしてくださったのですが、
終了後に一言、あの譜面台は会場の雰囲気に合ってないよ、との事。

持ち込んだ譜面台はいつものレッスンで使用している軽量のもの。
重厚な会場の中では、確かに異質な存在です。
でも、指摘されるまで全然気がつきませんでした!
さすが、数々の華やかなイベントをプロデュースしているだけあります。
(その方のお仕事はいつも素敵な会場なのです)

帰宅後、一念発起してすぐにネットで探しました。
以前買おうとした時は、実物を見る事が出来ないから、
イメージがわかず、最後の購入ボタンを押せなかった経緯があります。

良い譜面台は結構お値段がするものなのです。

最初は憧れていた木製のものを見ていたのですが、
装飾的で美しいのですが持ち運ぶ事を考えると、
現実的ではないという事で金属製ものに絞りました。

これはこれで、結構種類があるのです。
しかもデザインが美しく、しっかりした作りのものはかなり高級品です。

ここまで迷ったのだから、最高のものを買いたい!
迷いに迷った結果、
軽量化のために譜面を置くプレートの所は穴が空いていて、
作りがしっかりしていて、持ち運びのためのケースがついていて、
組み立てがしやすいドイツ製のものにしました。

届いてみて大正解!
なんでこれをもっと早く買わなかったのか信じられません。

面がしっかりしているので、メモを取りやすいし、
何よりも安定感があります。
高さもしっかりあるので、姿勢が悪くなる事もありません。

線も面も美しいし、そういう安定して美しいものが目の前にあるのと、
ネジが壊れてセロテープでとめてあるような不安定なものがあるのとでは、
気分がまったく違います。

生徒の皆さん、今までごめんなさい!
これからは、気持ち良く譜面台をお使いいただけます。

もちろん、一番大切なものは目に見えない世界。
そして、どんな環境でも自分の身体と心から自信のある音を出す事。

Can On Music Schoolにやってきた新しい譜面台に、
どんな音のドラマが刻まれてゆくか、
楽しみで仕方ありません。

ちなみにこの譜面台は青山用に購入したのですが、
もう一つの拠点、南相馬にも欲しいなー、とおもって、
ふらっとリサイクルショップに立ち寄ったら、
なんと、買うのを諦めた、
プレートは木製、胴体の軸は金属製の、
理想的なシンプルで美しいシルエットの譜面台が、
格安で売られていました。

かぶっていた埃を払い、ペンキとニスを塗ったら、
見違える様な美しい姿になりました。
もともとの作りが良いので、よっぽどぶつけたりしない限りは、
長くつかえるものなのですね。

こうして一週間ぐらいの間に、
念願だった完璧な譜面台が2台手に入りました。
ベストタイミングで指摘して下さった方のおかげです!

これからこの譜面台達の周りで、
様々な音楽が生まれる事でしょう。
大切に使っていきます!


Vol.24 不思議なMiya's Flute Party in 南相馬

一年に一回、生徒さんに超一流の方との共演の機会を作る事。
Can On Music Schoolを始めた時に自分との約束で決めた事です。
自分で主催しているからこそできる事でもあり、
他のプロの方に生徒さんの演奏を聴いていただく訳ですから、
私自身のチャレンジでもあります。

生徒さんの発表の場でもありますが、
上手い下手という事は関係なく、
「音楽を楽しむ」という気持ちを一番大切にしたくて、
[Miya’s Flute Party ] という名前にしています。

今年の共演者は南相馬、南青山ともに、
ピアニストの黒田京子さんに依頼する事が出来ました。
音色の美しさ、音楽の深い洞察と幅広さを持つ黒田京子さんと共演する事で、
きっと生徒さんにとって新たなステージに進むきっかけになる事と思います。

11月に開催される南青山編に先立ちまして、南相馬編を開催いたしました。
Can On Music School 南相馬校の生徒は現在2名。
エース的存在である中学生のRちゃん、
そしてダンディな魅力でスクールのエレガント率を、
ぐっと引き上げてくれているSさんはボーカルで受講されています。

さて、2名でパーティではちょっと物足りない。
幸い、二人ともとても上手で、人前で演奏する度胸もバッチリなので、
普段お世話になっている近所の方や、地元で応援してくださる方をご招待して、
公開演奏の場とする事にしました。

スクールの会場は南相馬市の中でも東京原子力第一発電所の事故により、
帰宅準備区域に指定されていた場所だったのですが、
今年の7月にやっと指定が解除になり、
これから人間の暮らしが少しずつ戻ってくるであろうというところに位置しています。

まさに今の瞬間しかない不思議な空気を感じる場所。
これはせっかくだから不思議なパーティにしよう、と思い立ち、
不思議の国のアリスの「Mad Tea Party」をモチーフにした会にしました。
もちろん、仮装もアリです。
私はハートの女王の格好をしましたよ。
地元の方は仮装してくれるか、不安だったのですが、
当日、蓋を開けてみたら、なんと沢山の方が仮装していらしてくださって、
びっくり!楽しむ時はとことん楽しむ!という気概は素晴らしいですね。

本当は庭でテーブルを出して、楽しむ予定だったのですが、
台風の影響で残念ながらぐずついた天気。
仕方なく室内で開催となりましたが、
なんとか無事に終了する事が出来ました。

黒田京子さんのご紹介で、東北を拠点に活動されている、
素晴らしい調律師の方との出会いがあったり、
民謡の先生が飛び入りしてくださったり、
何より生徒さん二人も素晴らしい演奏でした。

準備の大変さも全て報われました〜!
今しかない不思議な空間なので、同じことは多分二度とやらないと思います。
あとは南相馬での生徒さんが増えてくれるのを願うのみ。

Can On Music SchoolのFacebook Page
パーティの写真もアップしていますので、
ご覧ください。

そして、これから気持ちを切り替えて、
南青山でのパーティにフォーカスしています。
南青山校では、私の自慢でもあるのですが、
生徒さん、一人ひとりが個性を発揮できるような内容になる予定です。

楽しみに準備を進めています。

Vol.23 譜面の整理について

以前もどこかに書いたかもしれませんが、
譜面の整理が趣味です。
自分のレパートリーを把握する事で、
これまで世界中の音楽家達が積み重ねてきた音楽の歴史の中での、
自分の立ち位置が明確になってきます。
そのルーツを感じながら演奏すると、
さらに安定感のあって未来につながる音が出るように感じます。

例えば、作曲家や国ごとに譜面を整理する事で、
系統立てて音楽の歴史が見えてくるし、
私の場合、譜面を整理すると仕事が増えるというジンクスがあるので、
そういう意味でもオススメ、と書こうと思ったのですが、
譜面を整理しなくても素晴らしい音楽を奏でる人はたくさんいると思うので、
誰にでも当てはまるものではないのかもしれません。

例えば、料理をする時、
キッチンが荒れていても美味しい料理を作ることができる人は、本当に尊敬します。
(私はキッチンが片付いていないとスタートすらできないので)
キッチンが片付いているからといって、
美味しいものが必ずつくれるとも限らないし、
最終的に食べてみて美味しければ、なんでもOK ですよね。

音楽も一緒でどんな背景を持つ音でも、
一度外部の空間に解き放たれたら、
その音がどういう過程を通って奏者の体の中から紡ぎ出されたのかなんて、
どうでもよくて、ただただ良いものは良い、という、
それに尽きるのだと思います。

では、「良い」音楽はどうやって見極めるのか。
「美味しい」ということをどうやって決めるのかに似ているかもしれません。
その日の体調や、一緒に食べる(聴く/演奏)する人によっても、
感じ方が変わってくるかと思います。

あまり深いことを考えずに、直観で判断すると良いと思います。
そこで、気をつけなければいけないのは、無意識による思い込みによる縛りです。

私もレッスンで生徒さんたちに接していて、
みなさん、様々なバックグランドから紡ぎ出される音を、
レッスン室に持ってきてくださるのですが、
その時に、私の勝手な思い込みによって、
可能性を狭くするような事だけはないように気をつけなければ、と思っています。

vol.22 楽器アレコレ再び

楽器へのこだわり

私自身それほど楽器そのものには、こだわりがないのですが、
楽器の種類によって、こだわりアレコレは大分毛色が違ってくるようです。

例えば、パーツの一つ一つ細部までこだわるギターマニアや、
リガチャーのネジを交換したら音色が変わった、
などというサックスプレイヤーの話を聴いていると、
遠い世界の気がしてしまいます。

何しろ、フルートは、
箱を空ける→頭部管と足部管を本体に接続させる、
というほぼツーステップで組み立て完了です。

私自身、サックスにトライしていた時期もあるのですが、
続かなかった理由は、
リードを任意の位置にセットしなければいけなかったり、
一番はストラップを首からぶらさげなければいけないのが、
なんだかピンとこなかったし、
ライブ会場について、万が一ストラップを家に忘れていたらどうしよう、とか、
リードが割れて使えなくなっていたらどうしよう、とか
本当にちいさな事ですが、
これが毎日の事となると、やっぱりフルートは楽で良いナ〜
と思ってしまいます。

こんな事を書いたら、毎日あの大きな楽器を運んでいるベーシストや、
車に積み込むだけでも重労働なドラマーの方に怒られてしまいますが、
そういう楽器にまつわる「まわりのこと」も含めて、
きっと潜在意識もふくめて楽器を選んでいるのだろうな、と思います。

楽器を運ぶのが苦にならないぐらい好きでないと、
きっとベースやドラムは勤まらないし、
細かいパーツの選択肢がある喜びも、
きっとギターやサックスならでは醍醐味なのでしょう。

ちなみにフルートの中にもマニア層はやはりいるもので、
私が使用しているヘインズも製造番号でいうと、
マニア心をくすぐる時代に近いものだと言われた事があります。
ヘインズは音色に特徴があるので、そういう事もあるのかもしれません。

さて、「楽器にこだわりがない」アピールをしてきましたが、
お手入れはきちんとしなければいけません。

実は最近ちょっと楽器の調子が悪くて、先日修理にだしました。

本当はもっとはやく出せばよかったのですが、
ハードプレイする事が予想されるライブがあったので、
それが終わってからにしようと先延ばしにしてしまっていました。

予想通り、自分と楽器の限界までアタックするライブとなったのですが、
その時に楽器にとどめをさしてしまいました。

翌日の日中のホテルでの演奏での出来事。
なんだか、いつもに増して音が出ない・・・
嫌な予感が的中して、音の焦点が定まらない状況から、
ついにF#の音が全く出なくなりました。
「ぼくの壊れたクラ〜リネット」の歌が頭をよぎりましたが、
なんとかF#の音を避けてそのステージを乗り切り、
冷や汗をかきながら原因をさぐりました。
右手親指を押さえる位置の後ろに、キーとキーの位置を調整する、
厚さで言えばおそらく、サランラップぐらいのうす〜い紙(2ミリ×2ミリぐらい)が、
本来あるべき場所からズレて今にも落ちそうになっているではありませんか!?
落としたら一大事!必死に指でキーとキーの間に押し戻し、
(本当は接着剤でくっついているのですが)
なんとかF#を復活させる事が出来ました。

さすがにその夜のライブには怖くでその楽器をもっていけなかったので、
普段滅多に使わないサブの楽器をひっぱりだして持って行きました。

楽器自体は決して悪いものではないのですが、
ライブで使用するとあまりに勝手が違って驚きました。
キーの配列のバランスが微妙に違うので、
早いパッセージの時に指が思うようにいかなかったり
高音の下支えの時の腹筋のバランスがわからなくて、
四苦八苦しながらなんとか乗り切りました。

終演後、メンバーに、
実は今日、いつもと違う楽器だったんだ、と告白した所、
全然気がつかなかった!との事。

それぞれ、全体で音楽を捉えているからこそだと思うのですが、
自分が思っているほど、楽器に関する細かい事は人に伝わらないものだな、と感じた夜でした。

その夜にすぐに修理の約束をとりつけて、
無事にヘインズも復活しましたよ。

それにしてもあんなに薄い紙一枚で音が出なくなる事があるなんて、
やはりフルートは繊細な楽器なのだと思います。

私もこだわりがないといいつつ、ここまで長い文章がかけたのだから、
きっとなんらかのこだわりがあるのでしょう。

カノンにいらしている、フルート職人のUさんがしばらくお休みしているので、
フルート談義が出来ずに寂しい思いをしています。
どの楽器でも、楽器にまつわるその周辺の出来事には、
本当に面白い話が転がっています。

いつか、まとめて本になったら良いな、と夢みています。

vol.21 アンサンブルミーティング無事終了!

Can On Music School 初の試みであるアンサンブルミーティング、無事に終了しました。
総勢7名の優秀なジャズフルーティストの参加でフルートの音色に包まれる一日となりました。
二人は今年に入ってからスクールにいらした方なのですが、
フルートアンサンブルという特殊な形態にも関わらず、
見事なソロを聞かせてくれました。

アンサンブルにフォーカスする事で、
イントロ/エンディングや、曲中のキューの出し方などを実体験するとともに、
経験を積んだメンバーには、サポート役として、
ハーモニーやリズムを支えるベースパートや、
カウンターラインのパートにチャレンジして頂きました。

みなさん、メインの時とはまた違う表情で、
こんな一面もあったんだ!と新鮮な驚きでした。

フルートのみのアンサンブルの場合、
サポートで入るほうが、難しい面もありますが、
こういう時こそ、それぞれが生きて来た人生が音に出ます。
技術的な次元を超えて感動するものがありました。

私自身、今回のアンサンブルミーティングはチャレンジでしたが、
やってよかったと思っています。
生徒さんの新たな一面も見れたし、
この体験を経て通常のバンド形式の演奏に戻った時に、
もっともっと他の楽器とのコミニュケーションがとれるようになると思います。

個人的な発見としては、
今回、ミーティングに向けてのレッスン時に、
アンサンブルという事で実際に一緒に音を出す場面が普段より増えました。
これが大変ではあったのですが、意外と良い感触がありました。
言葉で言うよりも、音で会話したほうが伝わる事が多いですね。
ケースバイケースだとは思うのですが、
積極的にレッスン中での音の会話も増やしていこうかな、と思っています。

という訳で、これからも一緒に良い音楽をつくっていける事、
とても楽しみにしています。
参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

vol.20 アンサンブルミーティングにむけて

アンサンブルミーティングに向けて5月の生徒さんのレッスンが無事終了しました。カノンミュージックスクールの初挑戦の、
アンサンブルミーティングには8名の生徒さんが参加します。
一人一人曲を決めて、一人ずつのフルートアンサンブルの編曲も完成しました。
これで私の仕事の大半は終わったようなものなので、まずは一安心。
あとは、現場で楽しむのみですね!

さて、まだ開催もしていないのになんですが、
今回このような企画をしてよかったな、とすでに感じています。
何か形にするとなると、
まだまだ音楽的に入って行ける所が見えて来ます。
(普段のレッスンも全力でやっていても)
たまには、締め切りとか目標があると、
メリハリが出て、普段出さないような力が出たり、
見えなかった事が見えてきます。

曲は生徒さんが演奏したいものを決めて頂いていて、
ジャズのスタンダードナンバーだけでなく、
めずらしい所では、
All Man Brothers Band (アメリカのロックバンド)の曲や、
セルジュ・ゲンズブールの曲などにもチャレンジします。
私も新しい曲を知るチャンスなので、ありがたいです〜!

こうして、生徒さんと一緒に真剣に音楽に向き合うと、
楽器の上手い下手ではなく、
一音、一音に奏者の人生が刻まれているものなのだな、
と感じる事があります。

私自身も成長させてもらっているし、
一緒にこうして音楽が出来る喜びを感じています。

Vol.19 祝!Can On Music School アンサンブルミーティング 初開催が決定しました。

6月に初開催するCan On Music Schoolのアンサンブルミーティング。
大体の出演者と曲目が出そろいました。
Can On Music Schoolを立ち上げた時の目標でもあった、
年に一回の一流ミュージシャンとともに演奏するフルートパーティが、
おかげさまで軌道にのってきたというのもあって、
新たに、もう少し気楽にアンサンブルを体験しよう、という事で、
喫茶茶会記にて初開催致します。

ジャズフルートのみアンサンブルは実際珍しいですし、
参加される一人一人をイメージしたアレンジにするとはいえ、
フルートだけで、リズム、ハーモニー、メロディを完結させるのは、
伝統的なアプローチからすると、ちょっと難しいとお思いになるかもしれません。

ソロで楽曲に取り組んでいる経験から、
不可能ではないという確証はあるのですが、
積極的にリズムやハーモニーのアプローチに、
取り組もうという意識は必須かもしれません。

でも、同じ楽器同士、相手の事を理解しやすいし、
何よりも普段と違う視点で音楽に取り組む事で、
通常のセッション形式に戻った時に、
かなり深く音楽と関われるようになると思います。

難しい事は考えず、ただ、音楽を楽しむ!という事を大切に、
準備を進めています。

そんな事を考えながら、昨日、ピットインにライブを見に行ったら、
とても良いインスピレーションを得る事が出来ました。

見に行ったのは渋谷毅さんのオーケストラ。
ピアノ、ベース、ドラム、ギター+サックス(バリトン〜ソプラノまで)とトロンボーンという編成ですが、オーケストラの名に相応しい豊かな音場でした。

20年以上続いているオーケストラで、
メンバーも気心の知れた間柄だと思うのですが、
年季の入った素晴らしいアンサンブルでした。

以前、水谷浩章さんのフォノライトでご一緒させて頂いて、
私自身ファンでもある松風紘一さんとお話していて、
とっても良い話を聞いたので、これはすぐに取り入れたいと、
ここに書いている次第です。
松風さんがおっしゃっていたのは、
(ここに書ける事は私が受け取った要約になってしまいますが)

アンサンブルを成功させる上で大切なのは、
個人の音色だという事。

個人の音色が確立されている人はアンサンブルした時も、
ハーモニーをつくるのが上手いそうです。

各プレイヤーの個性的な音色が際立ちながらも、
全体としてものすごくまとまりのある渋谷毅オーケストラの
ライブの休憩中の何げない会話ですが、
この説得力は半端ではありません!

Can On Music Schoolにいらしてくださる生徒さんは、
年齢も社会的立場もそれぞれ違いますが、
楽器の技術の上手い下手は関係なく、
それぞれ個性的な音色をお持ちです。

それを自信を持って活かせるような環境を創る事が出来たら… !
その上で、みんなでハーモニーを創る事が出来たら…!

今回のアンサンブルミーティングの一つの目標が出来ました。

個々の音色を大切にする事。
あらためてその価値を認識する事。

その上で、みんなで合奏する時の基礎になるマナー、
Musicianshipについて考える事。

具体的にはイントロやエンディングなど、
ちょっとした音楽内の方向付けの方法などを体感する事。

そんな事にチャレンジしたいと思っています。

来月には、参加してくださるメンバーの皆様に、
それぞれが担当する曲のアレンジした譜面をお渡しします。

とっても楽しみです!

Vol.18 Q & A どんな曲を練習すれば良いですか?

そうですね・・・
好きな曲を演奏するのが一番良いと思います。
もちろん、素敵な曲は星の数ほどあるのですが、
”これが出来るようになりたい”という強いビジョンがあると、
そこに向かって進める事が出来るので、
得られる事も多いように感じます。

音楽の追求は果てしないですが、
具体的な目標を自分で決めて、達成感を感じながらすすめていくのが、
楽しく上達出来るコツだと思います。

同じような質問で、
「ジャズを聴きたいのだけど、何を聴いたら良いかわからない」
というものもありますよね。
確かにこれだけ情報がたくさんあると、
かえって何を選んだら良いかわからなくなる事もあると思います。

家にテレビをおかなくなってから何年も立ちますが、
たまに出先でみると、音楽の使い方の雑さにがっかりする事があります。
街中でも、何の意味もなく垂れ流しになっている音を聴くと具合が悪くなります。

本来、野外では身の危険を知らせるために、
聴力は全開で敏感に自分を取り巻く音にフォーカスしていて、
そこに聴きたくもない楽曲が流し込まれてくる訳ですから、
感覚が麻痺してしまいます。

音楽の内容の問題ではなくて、
本来必要のない空間に、コマーシャル的に、もっとひどいのは、
「音楽があれば雰囲気がよくなるだろう」という、
根拠のない善意からくる音の暴力によって、
耳が毒されてしまう訳ですから、
何を聴いたら良いかわからなくなるのも納得です。

そこで、何を聴くか、よりも、
どうやって聴くか、
でチョイスしていくと、また違った見方が出来るかもしれません。

自分の周りの音に耳をすませてみてください。
耳の感覚の趣くままに、自分の周りの音を感じてみると、
とっても豊かで奥行きのある音風景が見えてくる事と思います。

良い環境で、良い音楽を聴くという意識を持って行動してみると、
その時の自分の状態にぴったりの楽曲に出会える確立が高くなると思います。

音楽に限らず、どの分野でも良いもの、一流の物に触れる事が大切だと感じています。
音に触れる環境を整えて、能動的に音と関わって行くというのも、一つお勧めの方法です。

音響が計算しつくされたホールで音楽を味わうのも良いですが、
お金をかけずとも、身の周りの音を敏感に観察してみるだけでも、
きっと新鮮な発見があると思います!

もともと日本人は豊かな音を聞き分ける繊細な耳をもっていたそうです。
(これは実体験で私も感じます)
まずは「耳」の感覚にフォーカスしてみてください。
目に見えないからこそ、きっと豊かな体験が広がると思います。

vol.17 ヘアメイクのお話

今回はちょっと脇道にそれて、ヘアメイクの話。

フルートに関わっている人なら誰しも、
なんらかの形で人前で演奏する事があると思います。
その時にどんな衣装、どんなヘアメイクで臨むかを考えるのも楽しみの一つです。

私はフルートを吹く事で(身体も心も)美しくなると事が目標で、
身体に関連するお仕事や、
美容やファッションに関わるお仕事をされている方のお話が聴くのも大好きです。

今回はお世話になっているヘアメイクのMutu先生のお話。
恥ずかしながら、Mutu先生に出会って、
あの化粧品ブランド、シュウウエムラは
実在のパイオニア、植村秀さんの名前を冠したものだとはじめて知りました。

Mutu 先生はカマタメイクアップスクール(旧シュウウエムラメイクアップスクール)で長年講師をされた後、
独立してMutu makeup &lesson studioを設立されました。
カマタメイクアップスクールを運営されている鎌田誠さんは
美容界では知らない人はいないような方で、
植村秀さん直系のメイクアーティストだそうです。

(ちなみに、カマタメイクアップスクールはCan On 青山校から、
すぐ近く骨董通り沿いの小原会館の中にあります。
私もたまに化粧品を買いに行っています。)

植村秀先生→鎌田誠先生→Mutu先生
受け継がれて来た貴重な教えを、
ラッキーな事に私も少しだけ学ぶチャンスがありました。

一番感動したのは、最初に呼吸法の指導から入る事。
化粧品を肌につける際、きちんと呼吸を意識すると、
ノリもぐっと違ってくるように感じます。

これはフルートの技術が活かせますね!
是非皆様もお試しあれ。

残念ながら、Mutu先生の自由が丘のスタジオは今月で閉じてしまい、
先生の地元である北海道に移転されるそうです。

せっかく見つけた、一生をかけて少しずつ関わって行きたいと思った事が、
また一つ遠くにいってしまいました。

その事を寳玉に話したら、
「そりゃあそうだよ、素晴らしい人こそ、どんどん良い場所へ行くし、自分が生まれた場所に恩返しするのは当たり前だよ。」との事。

う~ん。確かに・・・。
故郷である北海道で、新たな美を創っていかれる事と思います。ますますのご活躍をお祈りしています。
出会いに感謝しつつ、またいつか何らかのつながりがある事を願っています。

さて、「良い場所」は、きっと人それぞれなのだと思います。

私にとっての良い場所、
大好きな町、東京・南青山と、新たにご縁の出来た福島・南相馬、
両方でこうしてレッスンが出来る事を、あらためて感謝致します。

vol.16 今年もよろしくお願いします

なんだかあっという間に2016年がはじまってしまいました。
私は昨年の年末はわりとのんびりしていたのですが、
ここに来て急に怒濤の忙しさ。旧暦で考えれば、
今頃が年末のはずなので、今年は旧暦のサイクルが合う年なのかもしれません。

なんとか課題をこなして、
2/9のAxis Mundiが終われば一段落なので、
無事に旧正月を迎えられるようがんばります。

さて、Can On Music Schoolもおかげさまで3年目に入りました。
受講生の皆様、一人一人の成長をうれしく感じると同時に、
私もやりがいを感じています。

スクールの新たな目標としては、
年一回のフルートパーティに向けて、
アンサンブルに力をいれたいと思っています。

現場での判断でのイントロやエンディングの出し方、
共演者とのコミュニケーションの取り方など、
個人レッスンの中ではカバー出来ない所を、
丁寧に見て行く機会をつくろうと思っています。
どうぞ楽しみにしていてくださいね♪

音楽のある豊かな時間を共有出来る事に感謝致します。
今年もどうぞよろしくお願いします。

vol.15 2015年お疲れさまでした!

Can On Music School 南青山 / 南相馬、
両校とも無事に年内のレッスンを終えました。

今年は初めて作曲にチャレンジしたり、
コード進行の中で自由に動き回れるための技術を身につけたり、
より美しい音色が出るようになったり、
生徒さん一人一人の成長を感じられる内容になりました。

スクールの運営でも、
念に一度のフルートパーティに、
昨年に引き続きピアノの谷川賢作さん、
そして、今年ははじめてベースの伊藤潮さんにご協力頂き、
クオリティの高い環境で演奏する機会を作る事が出来ました。

ピアノとの共演というのは、
やろうと思えば、そんなに難しい事ではないと思うのですが、
ウッドベースとの共演はなかなかないのでは、と思います。

実際に体験してみないとわからない、
ベースのアンサンブルの中でのポジションを、
みなさん感じる事が出来たと思います。

フルートは音域が高いので、それに慣れていると、
最初は低音を聴くのが難しく感じるようです。(私自身そうでした。)
低域の楽器の音を聴くための耳のチャンネルを合わせ方が分かれば、
問題なく誰にでも聴こえるものですが、
そのためのちょっとしたコツを掴むためにも、
実体験で生のベースと演奏する事より良い方法はありません。

アンサンブルを下支えするベースの響きを、
身体で感じられるようになると、
フルートの吹き方も変わってきます。

そのような機会をつくる事が出来て、
本当によかったです。


レッスンをしていて一番の喜びは、
例えば長くいらしている方でも、
「えっ!?こんな一面があったの?!』
というような、新鮮な驚きを感じる時。

ずっと出来なかった(と思い込んでいた)事が、
氷が溶けたように出来るようになるのを、
実感する時は本当にうれしいものです。

ブレイクスルーのポイントがどこにあるかが、
まったく予想がつかないというのも、
また面白い所だと感じています。

もしかしたら、生徒さん自身はもともと持っていたもので、
私がその才能に気がつけていない、という時もあるかもしれません。
これからも密に一人一人と関わって行きながら、
良い所をもっと知れるようになりたいと思っています。

Can On Music Schoolで取り組んでいる音楽は、
能動的に音楽と関わって行くものなので、
経験値からくる上手い、下手は関係なく、
自分のやっている事に自信を持って演奏出来るようになる事が大切です。
そして私が出来る事は、自信が持てるようになるお手伝いだと思っています。

音楽をやろうと思った時点で、
楽器は必ず応えてくれますから、
美しい音色と関わる第一段階はクリアです。

あとは、その美しい音色で、
どうやった自分の周りの人々を喜ばす事が出来るのか。

そのためには、まず自分の音に自信を持つ事が大切。
Can On Music Schoolで学んだ事を、
それぞれが自分のテリトリーに持ってかえって、
自分の周りの人々と音楽の喜びを共有する。

そのような音楽との関わりが私にとっての理想なのですが、
もうすでに生徒さん達のおかげで、
その夢は叶えてもらっているような気がしています。
生徒さんから毎回良いエネルギーを頂いています。
来年もまだまだ前に向かって進んで参ります。

Can On Music Schoolにいらしている生徒の皆様、
一年間、本当にお疲れさまでした。
これからも一緒に良い音楽を作るのを楽しみにしています。

そして、このコラムを読んでくださっている皆様、
一年間ありがとうございました。

Can On Music Schoolでは、
南青山校は若干名、南相馬校はまだまだたくさん、
生徒を募集しています。
ご興味のある方は是非お問い合わせください。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

Vol.14 楽器ケースについて

前回のコラムにも書きましたが、名前だしOKの許可がとれたので、
再掲載。前回の内容は(もうすでにお分かりになった方もいらっしゃるかと思いますが)ムラマツフルートのお話でした。

そのお話には続きがありまして、
先ほどCan On Music SchoolのFacebookのベージでも紹介したとおり、
フルートケースのお話です。

高校生の時に使用していたムラマツのフルートを、
大切にケースとケースカバーにしまったまま10数年保管していたのですが、
ひさしぶりに出した所、ショックな出来事が!

なんとケースの表面がドロドロにとけて、
接着剤が表面に出てきて、ベタベタな状態になっているではありませんか。
フルートの可憐なイメージとは真逆の
地獄からやってきたフルートケースになってしまっていました。
(中身のフルートは全く問題ないのですが)
さながら土に還ろうとしているかのような姿にギョッとして、
これはさすがに生徒さんには見せられない、と思いつつ、
カノンミュージックスクールにいらしている、
ムラマツフルートの職人さん、Uさんに相談した所、
こんな事例は見た事がないとの事。

その後、他にそのような事があるのか、
聞いてきてくださったのですが、
ごく希に保管しているケースカバーとの相性によって、
化学繊維が反応してそのような事がおこる事があるのだそうです。

安物の適当なフルートケースカバーにいれたまま、
10年近く置いておいたので、仕方ないのかもしれません。

その後、Uさんの迅速な手配のおかげで、
晴れて新しいケースを手に入れました。
楽器の制作に直接関わっている方から購入出来て、
すごく愛着のあるケースになりました☆
今度こそ、一生大切にしたいです。

でも、ある程度はやはり消耗品なのかもしれません。
今回、新しくケースを手にして分かったのは、
ケース自体もどんどん改良しているという事。
楽器がケースの中で動かないよう、
ストッパーになるフェルト部分が増えていたり、
数カ所の仕様変更がありました。

楽器同様、ケースもまた常に進化し続けているのですね!

皆様も、もしも長らく使っていないフルートがありましたら、
ケースが経年劣化していないか、是非一度ご確認をお勧めします。

もちろん、定期的に吹いてあげるのが一番です♪
(今回の件では、人の事は言えませんが..)


Vol.13 楽器のこだわりアレコレ

運がよく私は3本目の楽器で運命の楽器にたどり着きました。
一代目はメーカー名不明の格安モデル、
二代目はムラマツの頭部管のみ銀製のモデル、
そして、今現在愛用しているオールドのヘインズです。

みなさん、きっとご自身の楽器が自分にあっているかどうか、
色々試してみる時期があると思います。

先日、某フルートメーカーの職人さんとお話していて、
感動するお話を伺ったので、書いてみます。

ある生徒さんから今使っている頭部管が管体と合わないような気がする、
という相談を受けて、
それを何気ない会話の中で職人さんにその事を話した時の事です。

フルートメーカーは頭部管専門の所も含めると、
星の数ほどとは言いませんが、私が思っていたよりも、
はるかにたくさんのメーカーがあるそうです。

各社がダイナミックレンジが広い、とか、
運指が回しやすいなどの特色をうたっている訳で、
その中から自分にぴったりのものを見つけるのは、
こだわり出すとキリがない、というか、
かなり大変な事になると思います。

その職人さんが所属するフルートメーカーは、
基本的には楽器の音は奏者によってつくられるもの、
という考えのもと制作しているそうです。
神経質にパーツにこだわらなくても、
それぞれの身体に合った使い方が可能になるという事ですネ。
どんなもの要求にも応えられるから自信があるからこその考えだと思うのですが、
日本のフルートメーカーで、
このような考え方で制作している所があるを誇りに思います。

以前にもこのコラムに書きましたが、
楽器の練習と同等に身体の使い方の練習はものすごく大切で、
その基礎が出来た上でも、その日の体調や音を出す環境で、
音の調子はかなり変わってきます。

楽器を良い状態でメンテナンスしておく事も大切ですし、
信頼できるリペア職人を見つける事も大事。

自分の身体と楽器の関係を観察しつつ、
チャンスがあれば、是非
楽器の制作者やリペアの職人さんとお話してみてください。
きっと良い情報が得られると思います。
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Vol.12 Q&A 楽器のお手入れはどうしたら良いですか?

フルートの演奏が楽しくなると、
楽器が身体の一部のような存在に感じられるかと思います。

身体のメンテナンスと同じように楽器の手入れもとても大切な事です。

フルートはとっても繊細な楽器です。
定期的にケアする事によって、常に良い状態をキープしましょう。

フルートのケアには大きく分けて3種類あります。

a.自分で行う日々のケア
b.定期的にリペア職人に見てもらうバランス調整
c.数年に一度行うオーバーホール

a
毎日楽器を使った後に、中に溜まった水滴を拭き取ったり、
表面をクロスで磨きます。
水滴をとる時、掃除棒がタンポにひっかかって傷をつけたりしないよう、
くるくると掃除用のクロスを棒に巻き付けて、
上下どちらからでも構わないので管体に入れ、
そのまままっすぐ押し出します。
私は表面はさっとふく程度ですが、
ジョイントの所は丁寧にふくようにしています。
日常的にジョイントを拭く事で、
ジョイント部分が固くなるのを防ぐ事ができます。

管体に入ったまま棒を上下に動かすと、
タンポを傷つける可能性があるので、
一回いれたらそのまま同一方向にのみ動かすようにすると良いでしょう。

b
キーのとじ具合の調整や、キーのすべりを良くするオイルを指してもらいます。
オイルは間違えてタンポ内部に入ると後々大変な事になるので、
自分ではささないほうが良いです。
こまめに点検に出していれば、
常に良い状態をキープできるし、
次のオーバーホールに出す時もベストな時期に出せるでしょう。
点検のタイミングは、使用頻度にもよりますが、
私は学生の頃は季節の変り目ごとにだしていました。

c.
フルートのキーのウラ側を見てみると、
タンポといって、フルートのキーを押さえた時に、
最適な強さでキーを閉じるための仕組みが入っています。
メーカーにもよるかもしれませんが、
紙と圧縮したフェルトが入っていて、豚の腸で出来た皮が一番上にきます。

このタンポの調整を良い状態にしておく事が、
楽器のコンディションを保つために必須なのですが、
長年使用しているとフェルトがへたってきたり、皮が破けてしまったりします。

その経年劣化したタンポを総取り替えするのがオーバーホールです。
これは非常に繊細で時間がかかる作業ですが、
お店に出せば、オーバーホール中、
代替品の楽器をレンタルしてくれる所もあります。

ペースとしては、私は今のところ5年に一度ですが、
定期的なチェックの時に職人さんと相談して、
ベストな時期を見つけると良いでしょう。

楽器の状態が悪いまま練習を続けていると、どこかに無理が出て、
アンブシュアが硬くなったり、姿勢が悪くなる事につながってしまいます。

自分の身体のように楽器も大切に労ってあげると、
きっと豊かな音色で応えてくれる事と思います。
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Vol.11 フレーズや曲のエンディングについて

Can On Music School南青山は、
骨董通り近くのサロンに移って2年が立ちました。
その前は南青山4丁目のマンションの一室に、
小さなオフィスを構えていました。
そこは音出しが出来る環境ではなかったので、
理論を学びたいという方対象に、
小規模にレッスンをやっていました。

今回はその頃拠点にしていた南青山4丁目と3丁目の間あたり、
青山通りを一本入った路地にある、
小さな靴屋さんのお話です。

白を貴重とした清楚なショーウィンドウに、
大切な宝物のように、エレガントな女性用の靴が飾ってあります。

お店は決して広くはないのですが、光の取り込み方が上手で、
必要最小限のスペースで
空間の使い方が絶妙なのです。

前から見ると洋風なおしゃれな佇まいなのですが、
後ろから見ると驚く事に、ごく普通の、というか、
どちらかといえば、古めの木造の一戸建てなのです。

オーナーのセンスでこのような改築に成功したのでしょう。

4丁目にいた当時は、今よりたいぶ余裕がなく、
それでも、絶対に心豊かに暮らしたい、と決めて、
身の回りのものを工夫して、
無駄遣いしない事ばかり考えていました。

そもそも、南青山に拠点にしたいと思ったのは、
この街のエネルギーが好きだから。

外国人も多く、色々なエネルギーが通り過ぎる街で、
ここからどこにでも飛んでいけるような気持ちになる。
しかも治安が比較的良い。
この街からエネルギーがもらえるから、
月々の支払いで家賃の割合が大きくても、
それを補う効果があるはず。
そして、探せば(こだわりを捨てれば)家賃が安い所もあるという事を知って、
なんとかやりくりをして、ここでやっていこうという決意をして、
がんばっていた時に見つけたお店でした。

オーナーのセンスが光る、
小さなスペースを魅力的に活用するお店の前を通る度に
活力をもらっていました。

しばらくはショーウィンドウを眺めるだけだったのですが、
あるきっかけがあって、勇気を持ってお店にはいってみました。

お店の雰囲気にぴったりのとっても美しいオーナーが出て来て、
きさくにお店の事を教えてくれました。

売っているのはタンゴシューズという靴で、
タンゴを踊るための靴との事。
ダンスのための靴とはいっても、
タンゴの本場、アルゼンチンでは街を歩いていて、
そのままダンスホールに出かけるので、
街歩きにも問題ない事。
そして踊るための靴なので、履きやすく、動きやすい事。

アルゼンチンでは、若者からおばあさんまで
このような靴を履いて踊るのだそう。

お値段もその機能性から考えると良心的で、
それからタンゴシューズを買う事を目標にがんばって貯金をして、
念願の一足目を買いました。

ライブでよく履いていますが、デザインがかわいく、
しっかりと安定して立てるのでとっても気に入っています。

その後、色々な流れがあって、
現在のCan On Music Schoolに移動したのですが、
たまにお店にいったり、オーナーもライブを見にきてくださったりと、
ゆるやかな交流があって、
このまま一生かけて少しずつタンゴシューズを増やしていきたいと
思っていた所、オーナーから連絡があり、
なんと、今月でお店を閉じるとの事。

驚いてお話を伺うと、
自分のお店を持って靴のデザインをするのが子どもの頃からの夢で、
その夢が実現しお店を開いた時に、10年は続けようと決めていた事、
今年が11年目で節目として、
もう一つの夢を実現させるために転職するとのお話でした。

そのもう一つの夢というのが、聞いてびっくりだったのですが、
靴とは全く関係ない専門的な知識を必要とする職種で
すでに、就職も決まっているとの事。

お店を続けながらも出来ない事はないけれど、
中途半端にしたくないから、一度きちんと終わらせて、
次のステップに進む決意をしたそうです。

このポジティブな報告にすっかり感動して、
この記事を書いています。

何事も始めるよりも終わらせるほうが、難しいと思うのですが、音楽でもフレーズの終わりや、曲の終わりがしっかり決まると印象が全然違ってきます。

どうしても曲の頭、フレーズの頭に意識が行きやすいですが、一音一音の終わり、エンディングにまで気を巡らせて演奏すると、また新しい発見があると思います♪ 是非お試しください。

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Vol.10 Q&A ジャムセッションに参加してみたいです。どうしたら良いでしょうか?

ジャムセッション、憧れますよね!

私もジャズミュージシャンになるためには、
ジャムセッションに参加しなければならない、
と思い込んで、一生懸命通った時期がありました。

どんな所でも良いからジャムセッションに飛び込んで、
腕を磨きましょう!といいたい所ではあるのですが、
自分の経験を元に申しますと、
どんな方にもオススメ!とは言えないのが、正直な気持ちです。

ジャムセッションが生産的な内容になるかどうかは、
セッションを仕切るホストの手腕による所が大きいです。
参加する全員がハッピーになって、
さらに良い内容のセッションを開催するのは大変な事です。

上手く行かない事もある、という事を前提に、
目的意識を持って臨む事をお勧めします。

自分に合う良い環境でのセッション会場を探す事が、
まず、第一歩です。

よく分からない状況で飛び込んで行って、
音楽以外の所でダメージを受けて、
セッションが苦手、という意識になってしまったら、
勿体ないですよね。

フルートは力技がきかない楽器で、
音量や圧力で共演者をリードする事が出来ません。
その代わり、一緒に演奏する音楽家の力を借りて、
調和しながら自分の持って行きたい方向に音楽を導いて行く事が出来ます。
共演者の協力さえ得られれば、フルートだから出来ない、
という事は決してなくて、
音楽の中のどんな領域にもアクセス出来ると信じています。

ただ、共演者の協力は必要不可欠なので、
共演者の理解がないと思うように出来ず、
悔しい思いをするかもしれません。

とはいっても、そんなに難しい事でななくて、
自分がどのようにやりたいのか、
強い意思を持つ事がまず第一で、
それと同時に、ジャズは瞬間瞬間で変化する所も魅力なので、
ある程度の変化に対応出来るように、
柔軟性を持っている事も大切です。

では、どんなふうにやりたいのか、
イメージを持つにも、経験がなければ難しいですよね。

そのためのジャムセッションではあるのですが、
私のオススメとしては、
良い環境で出来るジャムセッションの会場を探す事と同時に、
お店仕切りのセッションだけではなくて、
一緒に音楽で遊んでくれる仲間を見つける事です。

ミュージシャンが二人集まれば、きっと、
何か一緒にやってみよう!となるハズ。

また、もしも気軽に出来る仲間を見つけるのが難しかったら、
他の楽器の奏者で一緒にやってみたいと思うプレイヤーに
レッスンを申し込むのがオススメです。

私も実際、ジャムセッションで得た経験よりも、
プロのライブに飛び入り演奏させて頂いた経験が、
実際にプロとして活動をはじめた時、
大きな後押しとなりました。

飛び入りは難しいとしても、
自分が好きなピアニストやギター奏者に、
レッスンを申し込んで、伴奏をしてもらう機会をつくるのは、
割と簡単に出来ると思います。

また、どうせ始めるのであれば、
最初に最高の体験をしたほうが、
目標を立てやすいだろうし、
たとえば、そのレッスンをしてもらうピアニストの生徒さんを紹介してもらって、
気軽にセッションをしてみるなど、
新しい方向に広がるかもしれません。

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Vol.9 フルーティストの身体の使い方について

フルートを吹いて健康でキレイになる。
これはずっと持ち続けているテーマです。

フルートを吹くと体力がつくし、
逆に運動を通して、身体の感覚に敏感になると、
楽器を演奏する上でも良い事があります。

ミュージシャンには
a.徹底的に体力づくりをする。
b.一見不健康だけど、なんとかなっている。

の2タイプがいるように感じていて、
私は気持ち的にはaなのですが、身体的にはおそらくbの部類に入ると思います...

どうやったら身体を気持ち良くしてあげる事が出来るのか。

スポーツはあまり得意でないのですが、
何もしないとライブで演奏する体力がなくなるので、
とにかく色々と試しています。

呼吸に良いと薦められて、はじめたアシュタンガヨガ、
もとが悪いので、相当キツいですが、
自分で出来る範囲で、毎朝家でゆる~くやっていました。

ところが、今年に入ってから一念発起し、
ウエイトトレーニングと乗馬を始めたので、
ヨガはもう必要ないだろう、と半年間やらなかったのです。

ウエイトトレーニングは人生初の体験で、
マシンで色々試したのですが、
期待したほどの効果を実感できず。
多分、やり方の問題なので、まだ諦めてはいないのですが…。

そして、先日、半年ぶりにアシュタンガのクラスに参加したら、
猛烈な筋肉痛になりました!

今までのウエイトトレーニングはなんだったのか、というぐらい、
情けない事に数日まっすぐに歩けないぐらいの筋肉痛。

音に対する身体の響きの違いはレギュラーでラウンジで演奏している、
P ホテルの音響を身体で覚えているので、
(天井も高く、反響も良くて、しかも生音 ! )
そこでの感覚を参考にしているのですが、
ヨガのクラスを受けた後は悔しいけれど、
呼吸が上手くいく!リラックスして疲れない!

という訳で、ヨガをやめるのはまだまだ早いという、今のところの結論です。
また半年ぐらいゆるく継続してみて、効果がどうだったか報告します~!

ちなみにウエイトトレーニングも、まったく効果がない訳ではなくて、
大胸筋を鍛えると、胸を開いてポジティブな姿勢をとるのが楽ですし、
全体的に筋肉がついてくると、音がきゅっと引き締まるような、
身体の中の響きが少し変わるような感じがありました。

何が合うかはきっと人それぞれ。
きっとウォーキングなどでも、音に良い影響があると思います。
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Vol.8 最近の発見

ここ数ヶ月は新ユニット Axis Mundiの始動や、
ヒルトンホテルでのレギュラー演奏など、
新しいサウンドの追求と同時に、
古典を大事にする事の両面を意識しながら活動してきました。
その中で気がついた事を2つ書いてみます。
(トレーニング編はまたの機会に...)

※ダイナミックレンジについて

例えば電車や車の中でCDを聞いていて、
盛り上がった時に音量が大き過ぎるから、音量を下げる。
そうすると、今度は音量が小さな箇所は聴こえない。
こういうCDはダイナミックレンジが広くて、良い作品です。
移動中に聞くよりは集中できる環境で聞くのに適しているものとも言えます。

生演奏の場合はより一層ダイナミックレンジが大切で、
PPからFFまで自在に使いこなせる奏者は大抵超一流の方です。
とくに小さい音で遠くまで響く音が出せる人となると、
その時、その場に居合わせる喜びは言葉に換えられません。

練習中や経験を積んでいる途中の方の場合、
どのスケールの音を吹こう、どのタイミングで音を出そう、
などにフォーカスされていると思います。

そこにもう一つのキーワード「ダイナミックレンジ」を入れてみてください。
具体的に言うと、練習の際に、一つのソロの物語の中に、
自分がコントロールして出せる最小の音と、最大の音と
両方の場面をつくります。

音楽そのものにぐっと奥行きが出て、生き生きをした内容になるでしょう!
是非試してみてください。

※ 信じられるのは自分のみ。

こちらはちょっと専門的な話。

Story of Jazz Vol.7 の準備でCharlie Parker の資料を色々と見ています。
詳細は本編でお伝えするとして、
皆様と共有したいなと思う箇所があったのでご紹介します。

BBC アーカイブの「Charlie Parker Story」の中で、
様々な奏者や評論家がCharlie Parkerについて語っている場面。

英国を代表するアルトサックス奏者で、
ヒップホップMCのSoweto Kinchさんの解釈が、
好きだったので引用します。

「Starting at any note from the scale and resolve, playing a series of chord changes like 2-5-1, with out getting too technical and land on a particular resolution which is "pretty", but going through cadences which are breath taking」

「スケールのどの音からでも自由にはじまり、例えばⅡ-Ⅴ-1のようないくつかのシリーズのコードチェンジを通過すると同時に、技術過多にならず、息をのむような美しいケーデンスを通過して特定の"Pretty"な音に解決する。」

この解決音を"Pretty"と表現する所にSowetoさんのセンスを感じます。
かわいい、キレイというよりは、魔法がかかったような、という解釈でしょうか。

Charlie Parkerが設計図を書いたBe Bopという新しい音楽の、
スタイルが確立されつつあった1940年代初期、
初めてその革新的なサウンドを聞いた人々の反応は、
賞賛か拒否と反応がまっ二つに分かれたそうです。

あのLouis Armstrongでさえ、
『No Melody to remember, and no beat to dance to」と言ったそう。
これもBBCアーカイブで仕入れた情報です。
この言葉だけ切り出しても、
Louis Armstrongが本当に言いたかった事をすべて受け止める事は出来ませんが、
現代においてジャズという音楽と関わる上で避けては通れない、
Be Bopという一つの流れの形が出来上がる過程で、
一部の人達から酷評されていたというのは興味深い事です。

私達が取り組む、譜面に書き記す事の出来ない音楽は、
演奏された時の空気感とセットのものです。

変な例えですが、
飲み会での仲間内の話は、その空間とセットではじめて意味を成すもので、
(私は意味もないような話ばかりしているような気がしますが、)
後から切り取った一部分だけがツイッターやFace Bookで拡散されても、
語った本人の意思とは違う形で、
一人歩きしてしますのと似ているのかな、と思います。

CDや貴重な映像でCharie Parkerなど、
巨匠の痕跡をたどる事が出来る事に感謝すると同時に、
その音の後ろに広がる時代背景や空気感を、
想像力で補いながら聴く事が必要だと感じています。

偉大な音楽家から得た学びをどうやって自分の音楽に活かすのか。
信じるは自分のみ。
新しくエキサイティングなサウンドを追い求めた先人達から、
そんな声が聴こえてくるような気がします。

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Vol.7 Q&A

Q : フルートを吹く時に、どんな身体の動きを意識しますか ?

フルート吹きにとって、身体の使い方はとても大切です。
フルートは管楽器の中でも肺活量がかなり必要な楽器と言われています。
何故かというと、エアリードといって、空気を振動させて管体を鳴らすのですが、
金管のように唇をマウスピースに押し当てたり、
他の木管のように直接マウスピースをくわえるのではなく、
(この場合は100%吹いた息が管に入るのですが)
横に構えて楽器が共鳴するポイントめがけて息を吹くので、
実際に吐いた息の一部しか発音に使われないためです。
楽器の大きさからは想像しにくいのですが、たくさんの息が必要になってきます。

では、肺活量がないとフルートは吹けないのか、という事ですが、
一番大切なのは、リラックスした状態で深い呼吸が出来る事だと感じています。
(肺活量はあったほうが良い事には良いですが)
その状態で、音が鳴るポイントに息を当てる事が出来れば、
少ない息で効率よく演奏する事が可能です。

フルートをはじめたばかりの方は、音の出るポイント(点)をみつけるために、
空気を面であてて、ポイントを探っていきます。
この方法だと、本来より多く息を使うので、慣れるまでは頭がくらくらしたりします。

実際、そういうものですので、音がでなくても力技で出そうとせず、
休憩を挟みつつ色々な角度をためしてみながら、
じっくり音がなるポイントを探してみてください。
楽な姿勢で、少ない息で音が鳴るポイントが必ずあります。

まだ楽器を持っていないけれど、イメージトレーニングをしたい、
という方にお勧めなのは、ペットボトルなどでの練習です。

瓶の口に唇をあてて息を吹き込み、ほーうと瓶が共鳴して振動するポイントを探してみましょう。
発音の仕組みはおおまかに言えばフルートと一緒です。
そして、出せる音には(瓶の種類にもよりますが) 低い音と高い音の二種類あります。
低い音は緩く広い面で息を送った時、
高い音は腹圧をかけスピードのある息を送った時にでます。
これもフルートと一緒です。

この練習をする時はアンブシュア(唇の形)はつくりません、
何も考えていない時、口を閉じて寝ている時ぐらいの力の抜け具合がベストだと思います。
唇は横に魅かない(イーっという形にしない。口の中の面積が狭くなり深い呼吸が難しくなる)
なるべく口角は下げ、のどの奥を開いて口の中はオーと発音する時の形にする。
この状態で音が出ると鳴らしている物体(管体や瓶)だけでなく、
自分の身体も空気の振動を感じて、気持ちよく共鳴します。

是非お試しください。

次回は、身体の使い方 トレーニング編をお送りします。

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Vol.6 フルートを持って旅にでよう♪

少しずつ暖かくなってきました。
気持ちの良い空気を浴びたり、美しい花をみたり、
外へお出かけしたくなってくる季節です。

今回の私のお勧めは、お出かけをする時に、
是非フルートを持って行ってみましょう、という事です。

幸いな事にフルートは飛行機でも手荷物として持ち込める数少ない楽器の一つ。
(預け入れは絶対にNG。それから自転車のカゴもダメですヨ )
気軽に持ち運べるからこそ、是非旅のお供に連れて行ってあげてほしいです。

音楽を演奏する事は、ブランコにのっている時のように、
地球と宇宙の中間的な領域を感じる事のできる行為です。

私達フルーティストにとって、その為の道具がブランコではなく、
フルートになるのです。

フルート(=笛)はもともと、遠くに音の情報を伝える役割があります。

はじめて行った土地や、心が落ち着くと思う空間で音を出してみると、
普段の練習の環境とはまたちがった感覚を得るでしょう。

そして、その空間の響きを身体で味わいます。
石造りの空間なのか、海風を感じる場所なのか、
はたまた木々の反響があるかどうか…。

その響きを体感すると、初めて訪れる場所でも、
大地と繋がっている気持ちになれるのです。

数分間の短い時間でも構わないので、是非試してみてください。
日々のフルートと関わる時間がより豊かなものになるし、
周りの人も喜ばせる事が出来ます。

また、野外で演奏した後は楽器のお手入れは念入りにしてあげてくださいね。
慣れない環境で楽器を出し入れすると、予期せぬ事故が起こりやすいので(経験済み)ケースのチャックの閉め忘れなど、とくに注意してください。

それから、余談ですが、風が吹いている環境では、
歌口に風が入ると楽器を鳴らす事が出来なくなってしまいます。
対処法としては、風に背を向けて演奏するしかありません。

野外のライブなどでは、マイクにウインドスクリーンをつけ、
なるべく風をよけられる位置につき、
風向きによって身体の向きを変えられるようなスペースを確保します。

フルートは室内楽器として作られているので、
ライブなどで悪天候の際は諦めるしかないのですが、
風が吹いている時に是非ためして頂きたいのは、
歌口の所をそっと風の流れに沿うように向けてみてくください。
ホーウ、というような、人間には出す事の出来ない、
かすかで繊細で豊かな響きがします。
これが、きっと楽器の始まりなんだ、と壮大な感覚を味わえます。

お出かけの際は、自分の為だけに、少しの時間だけでも、
豊かな響きを見つけてみてください。

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Vol.5 トリル再考

先日、中学生のRさんにトリルの運指の質問を受けました。
彼女は吹奏楽にも取り組んでいるので、
譜面に書いてある通りのトリルが必要なのだよね。

実はRさんはトリルの名手なのです。
はじめてその音を聞いたのは彼女が小学生の時。
トリルの速さに驚いた事を覚えています。
当時は独学でやっていた訳ですから、
トリルに関して、何が難しいのか、という事は考えずに、
きっと、ただただ、出来るようになるまで練習したのでしょう。
とても感心です!

そんな生徒さんに敬意を表して、
今回は「ジャズフルーティストのためのトリル」について考えてみます。

トリルはフルート奏法の花形テクニック。
大編成の中で響くトリル音は、
例えるならば、ケーキの上の繊細なデコレーションだったり、
ラッピングの最後のキラキラした飾りだったり、
作品の仕上げをワンランク上にする素敵なアイテム。

20世紀の最も偉大なフルーティストとも言われる
ジャン=ピエール・ランパル氏が、
「どうすればはやく指が動くようになるか」という質問に対して、
とにかくトリルを練習すると良い、
というアドバイスをしたという話を聞きました。

実際にランパル氏の動画を見てみると、
どんなに速いパッセージでも、指がほとんど動いていないように見えます。
極めて繊細な指のコントロールが、トリルの練習によって得られるのでしょう。

(フルートの持ち方は、唇、左手人差し指の付け根、右手親指の3点の支えです。
フルートを構えている時、右手の親指以外の指には限りない自由を与えてくださいね。)

トリルはフルーティストの耳にとって、
あまりに魅力的で、使いたくなるテクニックですが、
ジャズのリードシートを見るセッションスタイルの場合、
私達が本能的に使いたくなる箇所に「トリル」と指示してある事はまずありません。

逆に言えば、自由にどこにいれてもよい訳ですが、
厳密にいうとトリルの種類にも色々あって、
その中でどれを選択するかは、
奏者のセンスに任されます。

トリルの運指は、組み合わせによっては複雑な場合もあります。

私も学生時代に一通り練習したつもりだったのですが、
目指すトリルに聴こえればよい訳ですから、
運指は自分で適当にみつけて良い、という事に気がついてから、
運指表を見る事なく、感覚で色々試して、運指を決めていました。

そこで、最初に書いたような質問があった時、
吹奏楽でのトリルの指定は、正確でないといけませんから、
私の決めたトリルは本当に合っていただろうか… と不安になり、
久しぶりにトリルの運指表で確認してしまいました!

あってた!ホッとしました。
ただ、自分で選んでつかっていると、
無意識のうちに得意なもの、やりやすいものに偏りがちなので、
そこは気をつけて、たまには全パターン復習するようにします。

また、これは書きながら自分に言い聞かせている事でもありますが、
トリルや装飾音符はついつい過剰に使いたくなりますが、
そこはぐっと押さえて、本当に必要な時にだけ、使うようにしましょう。
そのほうが効果は100倍以上になります。

トリル全パターンを練習して指の繊細な感覚を掴み、
ここぞという時に、とびっきりのトリルを響かせてくださいね。

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Vol.4 本年もどうぞよろしくお願いします。

今年もレッスンコラム、出来る限り更新していきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。

昨年は南青山/南相馬両校でピアニストの谷川賢作さんにお越しいただき、
生徒さんが参加するオープニングパーティを開催する事が出来ました。

生徒さん一人一人が素晴らしい演奏を披露してくださいました。

長年クラシックを勉強されていた方で、
譜面がないアドリブの世界に自信を持って飛び込むために、
「オープンハート;心を開く」という事をテーマにして
やってきた生徒さんがオープニングパーティで
想像以上に突き抜けた素晴らしい演奏をしてくださいました。

そんな新しい世界に一歩足を踏み込んだ生徒さんに敬意を表して、
自分自身の、そしてスクール全体でも、レッスンを通してお伝えしたい事、今年の目標を立てました。

「ハートを開く」という事です。
簡単な事のようで、無防備な自分をさらけ出す事はかなり勇気がいる事です。
今まで勝手に作り上げた思い込みを一つ一つ解除して、
本当に良い音楽をつくるために一音一音、ピュアな心からの音を奏でる事。

また、このような音楽的思考だけでなく、「
ハートを開く」というイメージは実際のフォームにも、
良い影響がある事という事に最近気がつきました。

フルートという楽器の中で一番振動して、共鳴する箇所は
歌口といって普段マイクをあてている所なのですが、
フルートと自分の身体が一つの楽器/スピーカーだとして、
発音部分は歌口ではなく、ハートから音が出ているとイメージすると、
自然と肩が下がり、腹筋の支えが出来て、胸や鎖骨が開いて、
オープンで遠くまで響かせる音が出ます。

自分の心臓から音色が発せられている。
このイメージは最近の気に入っているものです。

フルートの演奏を通して、自分の身体と仲良くなって、
ますます健康に、美しくなる事。一生追い求める事ですが、
今年はとくに呼吸法(特に鼻からの呼吸)にフォーカスしたいと思います。
新しく有効な発見があったら随時レッスンやこのコラムを通して、
お伝えしていきます。

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Vol.3 Q & A

お勧めのジャズフルーティストを教えてください。


フルートの上達の一番の近道はたくさん「聴く」事です。
CDやライブなどの生演奏を通して自分が好きな音を見つけて、
具体的に「こうなりたい!」という目標を持ちましょう。

あまりジャズを聞いた事がないけれど、ジャズをやってみたい、
(↑私も最初はそうでした)
という人よりもジャズのCDもたくさん聞いていて、
ライブも頻繁にいっている人のほうが上達が断然早いです。

フルートは耳馴染みがあるし、
まずはフルーティストから聞いてみたい、
という方のためにジャズのフルーティストをご紹介します。

フルートを専門に演奏するプレイヤーの登場は、
ジャズの歴史の中でもそんなに古くはないので、
ラッキーな事にジャズの名盤に音を残しているプレイヤーを、
生で聞くチャンスが結構あります。

また、どのプレイヤーも非常に個性的で、
ジャズフルートのステレオタイプのイメージがない事も、
これからの可能性が多いに広るやりがいのある分野です。

まずはあなたの好きなプレーヤーを見つけてみてください。

フルート専門 ~外国~

・ハービー・マン Herbie Mann

ジャズの歴史の中ではじめて表舞台に登場したフルーティスト。
「Comin' Home Baby」は日本でも大ヒット。
私の経験上のリクエスト回数ペスト1です。
歴史や当時の世相を感じるスタイルですが、
ジャズフルートの扉を開いたパイオニアとしての功績は計り知れません。
フルーティストとしてだけでなく、
プロデューサーとしても多くの名盤を残しています。

ジェレミー・スタイグ Jeremy Steig

ピアノのBill Evansとの共作、
「What's New」の「スパルタカス 愛のテーマ」を聞いたのが、
私がジャズフルートをやろうと思ったきっかけでした。
光栄な事に、2004年にThe Fluteの企画でインタビューさせて頂きました。
ジェレミーの音色は非常に独特で聴く人の心に強烈なインパクトを残します。
事故で顔半分の筋肉の自由を失い、唇の半分が動かないため、
特殊なマウスピースを使用しているそうなのですが、
インタビューの時にセッションさせて頂いて、
その音の芯の強さ、スピード感、息の太さに圧倒されました。
フルートのイメージを塗り替える、
情熱的かつ洗練されたスタイルは日本でも人気が高いです。

・ヒューバート・ロウズ Hubert Laws

美しい音色でたくさんのファンを惹き付けるヒューバート・ロウズ。
華やかな音色とクラシックのオーケストラで演奏するほどの、
正確な技術で様々なジャンルで大活躍されています。
ヒューバートさんもありがたい事に2006年に、
The Fluteの企画でインタビューさせて頂きました
その時に驚いたのは音色の美しさからのイメージで、
てっきり最初にクラシックをされていて、
その後ジャズに転向したと思い込んでいたのですが、
そうではなくて最初にジャズの自由な精神に触れ、
独学でインプロビゼーションをしていたそうです。
その後テクニックの練習をするうちに必然的に、
クラシックの世界にも出入りするようになったそうです。
お話しているとジャズとかクラシックとか、
とくにジャンルは気にしていないようで、
とにかく良いものは良いし、
ただただフルートを愛しているという事が伝わってきました。
複数のジャンルで評価されている音楽家は
自身ではジャンルにはこだわっていない、という典型的な一例でした
ヒューバートさんに私もフルーティストですっ!と言ったら、
じゃあセッションしよう、と演奏をはじめて感動の時間でした。
大物ほど気楽に好奇心をもって向き合ってくれるというのは本当だと思います。

持ち替えフルーティスト ~ 外国 ~

・ジョー・ファレル Joe Farrell

持ち替えでフルートを演奏するジョー・ファレル。
彼の持ち替えかどうかなんて気にならないほど卓越した
テクニックでフルーティストからも尊敬されています。
おそらく日本で一番有名な録音はChick Coreaの
Retern for everで演奏したスペインのソロ。
この曲は私の経験上リクエストされる曲第2位です。
ジョー・ファレルの8分音符の吹き方は
一つのお手本として非常に参考になります。

・エリック・ドルフィ Eric Dolphy

おそらく自分以外で一番好きなフルーティストは?と聞かれたら、
エリック・ドルフィーの名前をあげると思います。
その強烈な個性で楽器による分類を超えた存在で、
エリック・ドルフィーはエリック・ドルフィーでしかないのですが、
フルートを使って素晴らしい作品を残した事で後世に与えた影響は大きいです。

余談ですが、私がジャズを聴くようになった背景をお話します。
真剣なリスナーのほうが演奏家より音楽に詳しい事はたまにありますが、
確かに演奏家が勉強のために聴くのと、
リスナーが心の喜びのために聴くのとでは楽しみの質が違ってきます。

演奏家の場合は、一番の喜びは音の振動を身体で味わう事なので
自分が演奏していたり、生で聞いたりしたものが重要になってきます。

私も好きは演奏家は?と聞かれた時に、
CDでしか聞いた事のない有名な音楽家よりも、
生で聞いた事のある音楽のほうが親しみを感じるので
友人の演奏を挙げる事が多いです。

音楽家が楽しみのために音楽を聴くのはなかなか難しいですが
オーディオなどの環境を整えれば、楽しみ方も変わってきます。
You TubeなどMP3ファイルを資料として活用するのは良いですが、
本当の音楽に触れるためにCDのほうが良いです。

数年前「What's New 」をYou Tubeで発見したのですが、
CDとの音質が違いに驚きました。
もしもYou Tubeが最初のジャズとの出会いだったら、
多分ジャズフルーティストになる事はなかったでしょう…

さて、自由なイメージに魅かれジャズコースに入学したのですが
入学した頃に真剣に聴いたCDは「What's New 」のみ。

同級生の親友Hは中学の頃から
ビッグバンドやコンボスタイルでバリバリ演奏していて、
講師の先生方からも「プロでやってたの?」と聞かれるほどの腕前。
彼女と並んで演奏すると自分のふがいなさにがっかりする日々でした。

それで、私は何が足りないのだろう、と考えた結果、
ジャズの中ではそれほどメジャーでないフルートという楽器が、
ジャズの経験が浅い状態で自分の中で足をひっぱっていたのは、
一つあったと思うのですが、
それよりもジャズの事を知らなすぎる事が
一番の原因だという事に気がつきました。

それから勉強のためにたくさんCDを聴くようになったのですが
幸いな事にHがお勧めの音源をたくさん教えてくれました。
彼女はテナーサックスで身体は小さかったのですが、
芯の太い音で地に足のついた渋いスタイル。
同級生の中でも一目置かれる存在でした。

そんな訳でお勧めの中には、
テナーサックスの渋い音源がたくさん含まれていて、
最初にたくさんそういうCDを聞いたりHの演奏を聞いていた事が、
もしかしたら今の自分のスタイルに影響を与えているのかな、
と思ったりもします。

ジャズの良い所は、楽器の種類が関係なく、
どのような楽器からも学べると言う事。
ボーカルからベースまでヒントになる事がたくさんあります。

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Vol.2 Q&A

フルートを吹いてみたい、まったくの初心者です。
憧れのフルートを買ったのですが、何からはじめたら良いのでしょうか?


フルートのご購入おめでとうございます!
一生の友になるよう、なが〜く大切にしてくださいね。
まずは最初に、音がでるように楽器の鳴らし方の仕組みと運指を覚えましょう。

フルートは最初に音が出るまでが少し大変ですが、
それを乗り越えたら楽しい世界が待っています。
最初音が出にくくても、あまり気にせず、
そのウチにでるようになるサ、と軽い気持ちで、
長く続ける事がポイントです。

フルートは息の流れに対して横向きに楽器を構えるので、
吹いた息の一部しか楽器に入りません。
楽器が美しく鳴ってくれるポイントがあって、
その点を狙って吹けば少ない息で楽に演奏出来るようになります。
そのポイントが見つかるまでは、息の面で攻めるしかないので、
どうしても無駄な息の量が多くなってしまい、
その状態のままで練習すると疲れやすいです。

ですので、音が多少かすれても気にせずに、
色々な角度で試してみて、楽器が楽に鳴るポイントが必ずあるので
見つかった時にその角度を覚えるようにすると良いです。

教えていて気がついた事ですが、フルートを吹いてみようという人の中には、
「笛吹きの勘」が鋭い人が50%ぐらいの確立で存在します。
フルートを持った瞬間に音が出てしまう人です。
私は音が出るまでにものすごく苦労したほうなので、
教えている中でこのタイプの方に出会うとうらやましくて仕方なかったのですが
パッと簡単に音が出ただけに、そこから先、美しくクリアな音を、
持続する事段階に来ると、意外と最初に苦労した方のほうが、
色々と試行錯誤した分、はやく感覚を掴んだりする事もあります。
あなたはどちらでしょうか?
どちらにしろ、安定した音が出せるようになるまでは、
長い時間をかけるつもりで、じっくり取り組む事をおすすめします。

また、運指に関してですが、楽器の音が楽に出るようになるまでは、
指と音づくりを一緒に練習すると、考える事が多過ぎて大変なので、
運指の練習と音作りは分けてやる事をお勧めします。

フルートの運指はリコーダーとほぼ一緒です。
リコーダーの時、縦にもっていたものをそのまま横にするイメージです。
(細かい所で違いがあるので運指表をチェックしてください)

フルートというのは不思議な楽器で、例えば中音のミのフラットの運指を
おさえると、息を入れなくても、その音が聞こえてきます。
ミのフラットはキーをおさえる割合が高いので、感覚が掴みやすいと思います。
ドの音はほとんどのキーがオープンなので、やりにくいと思います。
ミのフラットが難しかったら、ソなど安定して持てる所から、
少しずつイメージをつけていって、運指を覚えて行きましょう。

私は吹奏楽でフルートをはじめたばかりの頃、授業中に鉛筆などをつかって
運指のイメージをしていました。

フルートの演奏を通して、自分の身体とつながって、健康で楽しい日々を
過ごせる事を祈っています!

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Vol.1 Q&A

フルートをはじめたいのですが、楽器は買ったほうが良いのでしょうか?

早く上達するためにも、手元に楽器を置いておきたいですよね。
でも、すぐに楽器が手に入らなくても大丈夫。
出したい音を具体的にイメージできれば、
実際に楽器を手にした時の上達のスピードが違います。
好きなプレイヤーの音を良く聞いて、
どんな音が好きなのか(もしくは嫌いなのか)
自分の言葉で説明できるようになりましょう。

自分がそのプレイヤーになりきってCDを聞いてみたり、
とにかくたくさんの音源を聞いて、具体的に
「こうなりたい」とイメージを持つ事が上達への近道です。
音楽的にイメージできる事は必ず自分で再現できます。
また、日常生活の中ではフルートを吹く時の深い呼吸を意識するなど、
楽器が手に入った時のために準備をしておくのも良いです。

世界の一流プレイヤーが信頼を寄せる日本の老舗フルートメーカーはもちろん、
大量生産しているメーカーの比較的安い価格帯のものでも
数年間使うには何の問題もないものや、
日本のバイヤーがアジアで仕入れた格安でも
吹奏感にムラのない楽器も見かけるようになりました。

楽器選びは出会いが大切。運命の楽器があなたを待っています。
購入する場合は信頼できる所に相談して、
現物をみて購入する事をお勧めします。

また意外に多いのが、楽器はもっているのだけど、
長年箪笥の肥やしになっている、という方。
まずは、ケースを目につきやすい所に移して、
蓋を開けて楽器をみてあげてください。
音色も美しいですが、見た目も美しい楽器なのです。
きっと心が癒されますよ。見ているうちに、演奏したくなってきたら、
是非カノンミュージックスクールにお越し下さい。
一緒に楽しい音楽を創りましょう!